2007-09-09

写真と動画の違い

写真は幼少の頃に自分専用のコンパクトカメラを与えられて撮っていましたが、自分なりに本格的に取り組んだのはフィルム一眼レフカメラを持ってからでした。
動画は父の8mmカメラをときどき撮影させてもらったくらいで、本格的に取り組んだのは世の中がデジタルビデオ時代に入ってからなので、写真よりもだいぶ遅れてのことです。

動画を始めて、やっと静止画(写真)と映像(動画)の本質的な違いが分かってきました。

動画を写真のように撮影してもそれではダメだということはすぐに分かります。時間軸という次元が1つ増え、シャッターを押す一瞬だけに集中すればいい写真とは撮影の心構えは大きく異なります。音という要素も入ってきます。

でも、これは撮影を中心にした話であって、必ずしも写真と動画の本質的な違いではありません。

撮影から仕上げまで、作品を作るという作業の流れでは、大ざっぱにいうと写真の中心的作業は撮影、動画の場合は編集となります。
もちろん、写真だって写真集を作るなら編集、編纂作業はありますし、たくさんのカットの中から作品の選定をすることも重要な作業です。でも、それはどちらかといえばオプション的な作業で、軸足は撮影の方にあるのではないでしょうか。それに比べ、動画は編集が中心的な作業で、編集のための素材作成として撮影がある、と考えた方が適切です。

ただ、これも制作方法の違いでしかありません。
では、作品そのもののあり方、あるいはその性質から見た場合はどうでしょうか。

写真は比較的抽象的、動画は具象的です。
作品を鑑賞する際、同じ目を使うわけですが、写真ではそこに映し出されている現実に入り込むというより、写真の絵そのものを強く意識します。抽象的な分、その時間の前後やフレームの外側を想像するなどの脳活動が起きます。これは写真に語りかけることによって可能になるため、写真の鑑賞は能動的といえます。
それに対して映像では、絵そのものよりもその内容に意識が入り込むのが普通です。TVであればその画面の枠をいつの間にか忘れ、場合によっては映像の中身を疑似体験するような脳活動が起こります。これはかなり受動的です。

僕は、この観賞の仕方の違いが写真と動画の本質的な違いではないかと考えています。

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