2017-04-22

ITエンジニアのセンスと技術力(2)

(つづき)

ICTやエンジニア、技術力といった世界観の中で、創造という言葉に違和感を覚える人は多いかもしれない。創造というのはどこか神秘的で曖昧な印象があり、論理性とは正反対の言葉のようにも感じられるからだ。

しかし、実のところ創造的思考は問題解決能力の鍵を握っているのではないか、と考えている。

ところで、ここでいう「問題」とは必ずしも負のイメージのものだけを指しているわけではない。たとえばお客さんから案件を頂き、それをどのようなシステムで実現するか。という案件そのものも広い意味で問題ととらえる。我々はそれに対して問題解決(ソリューション)を提供する。

こうした問題というのは毎回新しい。過去と全く同じ問題に出くわすことは非常に希だ。
なので、単純に過去の事例から完全な解決策を得られることも希なのだ。

さて、ここからやっと創造的思考の出番、というタイミングだが、もう少し過去の事例から答えを得る方法、あるいは、過去の事例からヒントを得る方法について考えていきたい。

過去の事例を引き出すこと、これは記憶を引き出すという意味ではデータベースエンジンに喩えることができる。ご存じのように、データベースではインデックスの設計が性能を大きく左右する。これを人の思考プロセスに当てはめてみる。

  • 単純なインデックスを脳内に作るタイプの人は、同じ記憶を比較的直線的にしか引き出すことができず、知識の応用範囲が狭い。
  • 縦横無尽に様々に関連づけられたインデックスを脳内に作る人は様々な知識を応用的に引き出すことが可能。

これはなにも人それぞれの違いだけではなく、同じ人でも物事を記憶するときの感じ方、理解の仕方によって知識ごとに違ってくる。記憶の仕方でインデックスの作られ方が違うのだ。
おそらく、知識はそれを頭の中に作るタイミングが一番大切だが、後になにかの刺激で他の知識と関連づけられることでインデックスの質を高め、記憶としての価値が高まっていくという事もあるだろう。
その意味でも普段から考える、ということはとても重要なのだと思う。それが、学習の本質なのかも知れない。

話は逸れるが、日本の記憶力重視の勉強の、いかにそれが質の悪いものなのか、ということはこういったことからも理解できる。

(つづく)

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